昨年7月に相続法が改正され、いくつかの改正事項に先行する形で、「自筆証書遺言書の一部方式緩和」が今年、平成31年1月13日に施行されました。
これまで、自筆証書遺言書を作成するには、全文をボールペンなどで手書きしなければなりませんでした。預金口座や、不動産 明細等、財産目録に記されている内容をすべて手書きすることは高齢者にとって大きな負担となっており、自筆証書遺言書の普及 を妨げる原因になっていました。
特に、不動産明細については、地番、地目、地積など登記情報と同じ内容を、手書きしなければならず、不動産に詳しくない遺言者が、間違えて記載したりすることもしばしばありました。
例えば、遺言書本文に、不動産を地番、建物番号で記載せず、 住所で記載したり、地番を間違えた場合、該当不動産を特定できず、相続登記ができなかったという事例も発生しています。
今回の改正で、金融資産や、不動産明細をパソコンで打ち込み、 財産目録として、遺言書に添付することや、通帳のコピー、登記事項証明書を遺言書に添付することが認められました。注意点として、偽造防止の為、添付した書類については各ページに署名押 印をする必要があります。また、パソコンで作成された財産目録は、自筆証 書の本文の中にいれることはできず、必ず別の用紙で作成し添付しなければなりません。
財産目録を添付する方法に特に定めはありませんが、本文と財産目録との一体性を明確にす る為に、ステープラーで綴たり、契印することが望ましいで しょう。自筆する遺言書の本文から、 添付の財産目録の資産を指定する方法にも決まりはありませんが、本文に「別 紙財産目録1記載の財産をAに相続させる」といった記載をする方法が簡便だと思われます。
以上のとおり、今年1月より自筆証書遺言書の作成負担が大幅に軽減されています。パソコンで、財産を管理されている不動産オーナー様も多いのではないでしょうか。パソコンで作成した財産目録が遺言書に利用できることで、パソコンで財産を整理する作業が、そのまま遺言書作成作業の一部になったと言えます。
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