こんにちは。
葛飾区立石の不動産屋 株式会社福寿アセットの小泉賢修(こいずみ けんしゅう)です。本日は「2025年以降に始まる制度改正とは?」というテーマでお話しさせていただきます。
昨今では、様々な制度が改正されています。これらをいかに事前に情報をキャッチしておくのかが非常に重要になります。そのためには、毎年年末に発表される「税制大綱」をチェックすることが大切です。事前に情報を知っておくことで早めの対策を打つことができます。ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも税制大綱とは、日本の税制全体について、翌年度の税制改正に関する基本的な方針や具体的な改正項目をまとめた文書のことです。この大綱は、毎年年末頃に与党(主には自由民主党と公明党など)の税制調査会が中心となって取りまとめ、政府の税制改正の指針となります。
2025年度の税制改正に向けて、各府省庁から提出された要望がまとめられています。
各府省庁の要望の一覧から、特に私たち影響のありそうなものを抜粋します。
■金融庁
・NISAの利便性向上等
・上場株式等の相続税に係る物納要件の見直し
・金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
・生命保険料控除制度の拡充
・経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置の延長 など
■こども家庭庁
・こども・子育て支援加速化プランに基づく制度改正等に伴う税制上の所要の措置
・経済社会の構造変化を踏まえた子育て支援に関する政策税制の見直し等
■デジタル庁
・マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載に伴う本人確認措置等に係る所要の措置
・預貯金口座付番制度におけるマイナンバーの告知等に係る所要の措置
■復興庁
・経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置の延長
・住宅ローン減税等に係る所要の措置
■総務省
・公的年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
■財務省
・公的年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置。所得税や法人税の見直し。
■文部科学省
・公的年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
■経済産業省
・中小企業者等の法人税率の特例の延長
■国土交通省
・住宅ローン減税等に係る所要の措置
・老朽化マンションの再生等の円滑化のための組合による事業施行に係る特例措置の創設
・自動車関係諸税の課税のあり方の検討
・特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に係る税率の特例措置の延長
■内閣官房
・地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長
財務省、文部科学省 、総務省 が共同で、公的年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置というものを提出しています。
「税制上の所要の措置」として考えられる例は以下の通りです。
- 年金受給者に対する所得控除や非課税措置の見直し
- 年金保険料の支払いに対する税額控除の導入や変更
- 退職金や企業年金の税制優遇措置の再検討
- 地方税(住民税)への影響を反映させた調整
年金受給者に対する所得控除の見直しや退職金の優遇措置の再検討などは多くの影響がでそうですね。
他にも国交省の国土交通省が掲げる「老朽化マンションの再生等の円滑化のための組合による事業施行に係る特例措置の創設」とは、老朽化したマンションの建て替えや再生事業を促進するために、マンション管理組合や再開発組合が事業を実施しやすくするための特例措置を新たに設けることを指します。
日本の都市部では、建築後50年以上が経過したマンションが増加しており、建物の老朽化が深刻な課題となっています。これらのマンションは耐震性や安全性が不足している場合が多く、居住者の安全を確保するためには建て替えや大規模改修が必要です。しかし、以下のような理由で事業が進みにくい状況にあります。
- 合意形成の困難さ
多数の区分所有者が存在するため、建て替えや改修に必要な合意を得ることが難しい。 - 資金調達の課題
高額な建て替え費用や再生事業の資金を確保するのが難しい。 - 法的手続きの複雑さ
再開発事業や建て替え事業に関わる法的な手続きが複雑で、事業開始までに時間がかかる。
特例措置の目的
この特例措置は、マンション管理組合や再開発組合が主体となって建て替えや再生事業を円滑に進められるよう、以下の支援を行うことを目的としています。
- 事業の簡素化
法的手続きや事業計画の認可手順を簡略化。 - 合意形成の支援
区分所有法などに基づく合意要件を緩和。 - 資金調達の支援
補助金の交付や低利融資制度の導入。 - 税制優遇措置の提供
再生事業に伴う税負担の軽減(固定資産税の減免など)。
具体的な内容
特例措置の詳細はまだ議論中の部分もありますが、以下のような内容が含まれると考えられます。
1. 再開発事業の促進
- 再開発事業として位置づけられるマンションの建て替えに関して、計画認可要件を緩和。
- 再開発促進区域の指定や、地権者の合意形成を支援。
2. 合意形成のハードル緩和
- 現行では、建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要ですが、特例で要件を緩和。
- 合意形成を容易にするための調停や仲裁の強化。
3. 補助金や税制優遇
- 建て替えや改修にかかる費用の一部を国や自治体が補助。
- 再生事業の実施に伴う登記費用や固定資産税、譲渡所得税の特例減免。
4. マンション管理適正化法の適用
- 管理が不十分なマンションの管理状況を改善するための指導・監督を強化し、再生事業の円滑化を図る。
5. 金融支援
- 管理組合が再生事業に取り組む際の低利融資や信用保証を整備。
今後の展望
この特例措置の詳細は、国土交通省が2024年度以降の法改正や予算措置の中で具体化していく予定です。地方自治体との連携や専門家による支援体制も強化され、老朽化マンション問題の解決に向けた実効性の高い仕組みが構築される見込みです。
これらは老朽化したマンションにお住まいの人や相続でマンションを引き継いだ人によって、受け取り方が異なりそうですね。
年末に具体的な指針が発表されるので、ぜひチェックしていきましょう。
いかがでしたでしょうか?
本日は「2025年以降に始まる制度改正とは?」というテーマでお話させていただきました。最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。