こんにちは。
葛飾区立石の不動産屋 株式会社福寿アセットの小泉賢修(こいずみ けんしゅう)です。本日は「マンション住まいは要注意!相続税を支払う人が急増する可能性も。相続税評価が改正された具体例」というテーマでお話しさせていただきます。
実は2024年1月1日から、分譲マンションにおける相続税評価額の算出方法が大きく見直されました。
これは「タワーマンション節税」として知られた手法が通用しにくくなるだけでなく、
一般的な区分マンションの所有者にも大きな影響を与える内容です。
ここでは、東京都葛飾区に所在する分譲マンション(価格5,000万円)を想定し、
改正前後の評価額や税負担の変化を具体的な計算とともに解説します。
なぜ改正されたのか?背景をおさらい
かつては、マンションの相続税評価額は「土地=路線価、建物=固定資産税評価額」で算出され、市場価格より大幅に低い評価となることが一般的でした。
特に高層マンションは、所在階にかかわらず評価が一定だったため、節税対策として富裕層に好まれていたのです。
国税庁の調査では、マンションの市場価格が相続税評価額の2.3倍になるケースも確認されており、「不公平だ」との指摘が高まりました。
そのため、評価額を市場価格の6割程度に引き上げる新ルールが2024年に導入されることになったのです。
改正後のポイント:評価額はどう変わる?
新制度では、「居住用区分所有財産」に対して、評価額の乖離を補正する仕組みが設けられました。簡単に言えば、以下のようなロジックです。
◆ 新ルールの基本構造
- 評価額 = 従来の評価額 × 補正率(1.2〜2.0倍)
- 補正率は、築年数・所在階・総階数などに応じて個別に設定されます。
これにより、築浅・高層階のマンションほど評価額が大きく引き上げられることになります。
【実例】葛飾区の区分マンション(5,000万円)の評価額を計算!
▼ 物件概要(想定)
- 所在地:東京都葛飾区
- 築年数:5年(築浅)
- 所在階:12階/全15階
- 市場価格:5,000万円
- 専有面積:70㎡(敷地持分20㎡)
- 路線価:30万円/㎡
- 固定資産税評価額(建物):1,200万円
◆ 改正前の相続税評価額(旧方式の場合)
▶ 土地部分の評価
敷地持分20㎡ × 路線価30万円 = 600万円
▶ 建物部分の評価
固定資産税評価額:1,200万円
▶ 合計評価額(相続税評価額)
600万円(土地)+1,200万円(建物)= 1,800万円
これは市場価格5,000万円と比較すると、わずか「36%程度」です。
実際の価値よりも相続税評価の低さがわかります。
◆ 改正後の評価額(新ルール適用)
2024年以降は、乖離率補正が加わります。築5年・高層階という条件から、
補正率は1.6〜2.0倍が想定されます。ここでは1.8倍と仮定します。
▶ 新評価額
1,800万円(従来評価) × 1.8(補正率)= 3,240万円
これは市場価格5,000万円の「約65%」に相当し、「市場価格の6割ルール」に近い水準です。
相続税の金額はどう変わる?
▼ 前提条件
- 相続人:長男1人
- 基礎控除:3,000万円+600万円×1人=3,600万円
◆ 改正前(評価額1,800万円)
課税遺産総額:0円(基礎控除内)
→ 相続税 0円
◆ 改正後(評価額3,240万円)
課税遺産総額:3,240万円−3,600万円=非課税
→ 今回のケースでは非課税のままだが、現金など他の財産がある場合はどうなるでしょうか?
▶ 他の資産があった場合
もし他に現金2,000万円があれば…
総資産:3,240万円(マンション)+2,000万円=5,240万円
課税遺産:5,240万円−3,600万円=1,640万円
相続税(法定相続人1人、税率15%、控除額50万円)
→ 1,640万円 × 15% − 50万円 = 196万円
と現金がある場合には相続税が発生する対象になります。
そのため、これはお住まいになっている方にとっては
実質的には相続税の増税となったり、相続税を支払う対象の人が増える可能性が十分あり得る話となります。
改正による影響まとめ
区分マンション5000万円で今回想定してケース
項目 | 【改正前】 | 【改正後】 |
評価額 | 1,800万円 | 3,240万円 |
非課税枠内 | ◎ | △(現金があれば課税) |
節税効果 | 高い | 減少 |
必要な対策 | 少ない | 生前贈与や売却検討も |
今後どうすべきか?3つの対策ポイント
① 生前贈与の活用
贈与税の非課税枠(毎年110万円)を活用して、評価額が上がる前に贈与しておくことで将来の税負担を軽減できます。
② マンションの売却・組み換え
相続税評価額が大きく上がる物件は、評価が低い地方物件や現金資産へ組み換えることで節税になる場合も。
③ 専門家との早期相談
2024年以降、評価計算が複雑になっているため、税理士・不動産鑑定士との連携が重要になります。
終わりに
東京都葛飾区の分譲マンションであっても、今回の相続税評価改正は例外ではありません。特に築浅・高層階の物件では、評価額が1.5倍〜2倍になる可能性があるため、早めに評価額のシミュレーションを行い、必要な対策を立てることが重要です。
評価額が上がる=税負担が増える時代だからこそ、「知っているかどうか」が相続の明暗を分けることになります。事前に相談いただき、早期に計画していきましょう。弊社でもご相談承ります。
本日は「マンション住まいは要注意!相続税を支払う人が急増する可能性も。相続税評価が改正された具体例」というテーマでお話させていただきました。最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。