こんにちは。
葛飾区立石の不動産屋 株式会社福寿アセットの小泉賢修(こいずみ けんしゅう)です。
前回は「相不動産を相続してもらう時に共有名義にしないこと」についてお話をいたしました。
本日は「相続前に知っていて欲しい不動産の2つの価値」というテーマでお話させていただきます。
みなさんは不動産を評価するための基準がいくつかあるのはご存じでしょうか?
売買する時の評価や固定資産税を支払う時の評価、相続税を支払う時の評価など様々です。同じ1つの不動産なのに、何を評価するかによって金額が変わります。これを「一物四価(いちぶつよんか)」または「一物五価(いちぶつごか)」とも言います。
今日は評価方法をお伝えしたい訳ではなく、不動産にはこのように評価が様々あって、どの評価を基準にして物事を考えるかによって大きく変わってしまうという事例についてお話させていただければと思います。相続と不動産で密接に関わってくる評価が主に2つです。「実勢価格」と「相続税評価額」です。実勢価格と言われても、いまいち分かりづらいので、実勢価格は「売買価格」と呼んでお話させていただきます。
あるA郎さんのお話をさせていだきます。A郎さんには母と弟のB太がいます。母は分譲マンションに一人で住んでいます。兄弟は2人とも親元を離れて生活しています。残念なことに分譲マンションに一人で住んでした母が先日亡くなってしまいました。お葬式などの手続きも終え、実家のマンションを掃除していたところ、母が残した遺言書が見つかりました。A郎とB太は遺言書に書いてある内容を確認しました。そこには、「A郎には分譲マンションを、B太には現金で500万円を相続させます。税理士さんにも相談して平等になるように分けました。」と書かれていました。兄弟は母の遺言書通りに分けることにしました。
月日は流れ、兄のA郎さんは部屋にあった母の荷物の整理出来たので、兄弟で話し合った結果、売却することに決めました。そこで、事件は起きます。A郎さんが相続した分譲マンションは、なんと1000万円もの金額で売却することが出来たのです。これには兄弟で驚きました。何より、弟のB太としては平等に相続したと思っていたので、分譲マンションの価値が自分のもらった財産の倍だと分かり、相続が不平等だということで自分にも売却した金額の一部を要求してきました。そして、兄弟は話が折り合いが付かないまま、弁護士で立て裁判をすることになり、二度と兄弟での付き合いは無くなってしまいました。
実際にこのような事は起きてしまう事が多くあります。財産別にみた遺産分割トラブル件数を見てみると、1000万円以下の財産が全体の約33%、5000万円以下の財産が全体の約42%で起きています。
ではなぜ、このようなこのが起きるのでしょうか?母は弟を騙して兄に財産を渡したかったのでしょうか?そうではありません。ここで一番初めの話に振り返ってみましょう。
不動産には様々な評価があります。ここでポイントになるのは「売買価格」と「相続税評価」に差がある。ということです。母は税理士さんに相続のことを相談しました。そこで評価をみてみると、分譲マンションの相続税評価は500万円だったのです。その評価額を見て母は弟にも同じ金額を渡さねばと思い、B太に現金で500万円を相続させたのでした。お母様は分譲マンションの価値が500万円であると思い込み、このような結果になってしまったのです。
不動産は「売買価格」と「相続税評価」に違いがあります。今回のように相続税評価が500万円、売買価格が1000万円と言ったように大きく差があることは良くあります。逆に売買価格が500万円で、相続税評価が1000万円というケースも存在しますので(例えば底地や未接道の土地など)、必ず相続発生前にはこの2つの評価を把握しておきましょう。
もし分からない場合は、弊社でもお調べすることも可能です。宜しければお問合せください。
いかがでしたでしょうか?本日は「相続前に知っていて欲しい不動産の2つの価値」についてお話させていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。