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認知症対策の問題について

こんにちは。

葛飾区立石の不動産屋 株式会社福寿アセットの小泉賢修(こいずみ けんしゅう)です。

前回は「相続前に知っていて欲しい不動産の2つの価値」についてお話をいたしました。

本日は「認知症の対策問題」というテーマでお話させていただきます。

皆さんは、親の介護についてどのようにお考えでしょうか?ご家族で行いますか?それともホームヘルパーなど介護施設の利用をお考えでしょうか?多くの方は、後者を選ぶ方が多いのではないでしょうか。親の介護のため時間を割くことが出来なかったり、親元を離れているため通えないなど、それぞれ理由があると思います。ここで、あるご相談者様の事例をお伝えいたします。

 

相談者のA子(40代)さんから、後見人制度について知りたい。というご相談をいただきました。お話を聞いてみると、実家に今年で80歳になる母が一人暮らしをしており、A子さんは近い将来、母の介護が必要になると考えていました。しかし、A子さんには中学1年になる子と小学4年になる子が2人いるため、とてもではありませんが自分の家庭で親の面倒を見ることは難しいと考えていました。そのためA子さんはお母さまが認知症になった後、後見人制度を利用することで、母の生活に必要なものは母の貯金から出すことを考えている。とのことでした。

 

私は、「お母様が既に認知症の症状が出ていませんか?」と念のため確認したところ、「最近モノ忘れが多くなったのですが、その状態では難しいのでしょうか?」とのことでした。みなさまは、認知症かどうかを判断するのは誰だと思いますか?お医者様に診断書をもらうのでしょうか?

答えは、認知症が発症する前は公証役場で契約を行うことになりますので、公証人が契約できるか判断します。

 

また、後見人制度が大きく分けて2つあることをご説明いたしました。

小泉「認知症になる前と後で契約方法が変わります。1つは法廷後見制度、もう1つが任意後見制度というものがあります。認知症が発症した後の契約が法廷後見制度、発症する前の契約が任意後見制度になります。認知症になったあとの後見人制度には注意点がいくつかあります。1つは家庭裁判所で判断するので、後見人になれる人が誰になるか分からないという点です。後見人制度は手続きをすれば誰でも財産管理を出来るという訳ではなく、家庭裁判所に申請し、家庭裁判所が後見人を決めます。後見人になる候補として身内の方を候補にすることは可能ですが、多くは弁護士や司法書士など身内ではない、第3者が管理することが多いです。しかも、一度家庭裁判所で後見人を決めた後は取り下げが出来ません。つまり、認知症になってしまった後では、財産管理できる人が誰なのか分からないのです。」

この話を聞いてA子さんは、認知症になった後に後見人制度を使うことで、母の財産管理をしていけば良いと考えていたので、非常に驚いておりました。

A子さん「ちなみに、認知症になってしまった後でも、第3者の方に納得していただければ、相続対策は行えるんですよね?」

小泉「いえ、残念ながらお母さまご本人が望んでいるかどうかの判断が付かないため、基本的に何もできないと思っていただいた方が良いです。例えば、生命保険に加入したり、子どもや孫に贈与をしたりなど、一般的には行うであろう対策でも、お母さまの財産を守るという観点からは認められず、結果的に何も出来ないという事が多いです。」

 A子「ヘェ、そうなのですね。じゃあ、母がゆくゆく介護施設に入ることになって、介護費を支払うために自宅を売却したいとなった場合はどうするのですか?」

 小泉「財産を守るという観点から売却すべきなのか判断が難しく、財産管理する人としては、とりあえず何もしないという選択をされる方が多いですね。そのため基本的に売却は難しいと思っていただいた方が良いです。空き家のまま何も手出しができないというご家族も多くいる訳なんです。なので、お母様が認知症になる前に、誰に後見人になってもらいたいかを事前に決めていただくことがすごく大切なんです。事前に後見人になってもらう人を決めてもらえれば、お母様がもし認知症になった時に、事前に決めた後見人の方が財産管理をすることが出来るようになるんです。」

 A子「なるほど、そうだったんですね。母が認知症になった後に、後見人制度を使おうと思っていたので、母が認知症になる前に知ることが出来て良かったです。教えていただきありがとうございました。」

 

 いかがでしたでしょうか?A子さんはたまたま早めにご相談に来てくださったので、事前に対策が出来たのですが、親が認知症になってから対応しようと思った方も多いのではないでしょうか?ご両親がいらっしゃる方は、お元気なうちに誰に財産を管理してもらうのか決めていただくことを是非すすめてみてください。本日は「認知症の対策問題」についてお話させていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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