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「国民総相続税対策」の時代到来か?

カテゴリ:相続

こんにちは。

葛飾区立石不動産会社の株式会社福寿アセットの小泉賢修(こいずみ けんしゅう)です。本日は「「国民総相続税対策」の時代到来か?」というテーマでお話しさせていただきます。

■相続税を支払う人が増えている

「相続税はお金持ちだけが払うイメージ」と思っている方も多いのではないでしょうか?

相続税の課税割合、つまり全ての亡くなった方のうち、相続税の課税対象となった人の割合は上昇を続け、今や10人に1人となっています。

今から10年ほど前までは、相続税が課税される人の割合は4%程度だったのですが、平成27年に課税強化されたために、課税対象者は大幅に増加し、その後も増加傾向が強まっています。

直近のデータとして、国税庁が令和4年分の相続税の申告事績を公表しています。それによると、被相続人数(死亡者数)は約1569千人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約15万人を超え、課税割合は9.6%に上昇、いずれも過去最多を更新しました。

 

1.全国の相続税の申告状況

1-1. 被相続人数、課税対象被相続人数ともに大幅に増加し過去最高を更新

 高齢者人口が増え続ける中で、被相続人数(死亡者数)も増加を続けてきました(図1)。令和2年は11年ぶりに減少しましたが、令和3年は再度増加に転じ、令和4年は前年比9.0%増の約157万人と大幅に増加し、過去最多を更新しました。

新型コロナウイルス感染症は、58日に5類に引き下げられ、すでにほぼ収束したかのように思われがちですが、令和4年の死亡者数は約47千人と前年の2.8倍と大きく増えています。その他、老衰や心疾患を死因とする死亡者数も増えています。(厚生労働省「令和4年人口動態調査」)

被相続人の増加に伴って、課税対象となる被相続人数は15万人を突破し、前年よりも12.4%増と大幅に過去最多を更新しました。平成27には基礎控除の引き下げ等税制変更による課税強化が行われたことにより、一気に課税対象被相続人が増加しましたが、その後も概ね死亡者数を上回る増加率で推移しています。

令和2年国勢調査人口を基にした将来推計人口()では、死亡者数は2040年頃にピークを迎え166万人となり、令和4年比で9.6万人増えると見込まれます。多少の誤差があるとしても、概ねあと20年近くは被相続人が増え続けると見られます。

また、課税対象被相続人の増加に伴い、相続税の納税者である相続人数も増加し、令和4年には32.9万人となった。課税対象被相続人1人当たりの納税者である相続人数は、少子化の影響もあって、平成元年時点では約3.0人だったものが、令和4年には2.2人に減少している。
被相続人1人に対する相続人数が減少したということは、基礎控除額が減少するため、このことも結果的に税額の増加につながっている。

死亡数の将来推計は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果。

 

1-2. 課税割合も9.6%で過去最高を更新

相続税の課税割合(全ての被相続人のうち、相続税の課税対象となった人の割合)は、今回9.6%(前年9.3%)と、前年より0.3ポイント増加し、これも過去最高を更新しました。

平成27年以降は課税対象者が大幅に拡大したことから、バブル期のピーク時(平成3年の6.8%)と比べてもかなり高い水準であり、それ以降も令和元年を除いて拡大を続けている。


1-3. 課税価格、税額ともに大幅に増加

課税価格と税額について、これまでの推移を振り返ると、いずれも課税強化された平成27年に大幅に増加し、その後も令和元年を除けば増加傾向が続いています。今回、課税価格は前年比11.3%増の206,740億円、税額は前年比14.6%増の27,989億円と、いずれも大幅に増加しました(図3)。

これを被相続人1人当たりで見ると(図4)、令和4年度の課税価格は13,711万円で前年比0.9%減となり、税額は1,855万円で前年比2.0%増となりました。平成27年以降は対象者が拡大されたことで、それ以前と比べて課税額、税額ともに低くなり、その後は概ね横ばいとなっています。


1-4. 相続財産は10年間で約7割増

相続財産の合計額は218,663億円(相続税額のある申告書データに基づく計数)で、10年前と比べて約86%増加しています(図5)。また、課税強化によって大幅に増えた平成27年と比べても、7年間で相続財団は約40%増加しました。

東京国税局管内の相続財産合計額は、81,568億円で、全体の約38%を占めています。これに名古屋と大阪を加えた三大都市圏を含む3つの国税局管内で、全体の67%を占めています。

 また、沖縄国税事務所管内の相続財産合計額は2,001億円で、10年前に比べると約2.9倍と大幅に増加しています。その他、札幌や仙台、福岡国税局管内でも大幅に増加しています(図6)。

 

210人に1人が課税される今、あらためて問われる相続税のあり方

令和4年度の相続税の申告において、相続税が課税される被相続人数や相続人数、税額と、いずれも過去最多を更新しました。
課税割合は9.6%まで上昇し、被相続人の10人に1人が課税される時代です。さらに、両親の相続を併せて考えると、1次相続では配偶者控除が大きく効くため課税されずに済んでも、2次相続では課税されるケースも多く、相続人から見て相続税が課税される割合は、もっと高いことになります。

かつて相続税というと、課税割合は4%程度と一部の富裕層に限られた税だと思われがちで、富の再分配だとする考え方もあり、相続税は課税強化の方向で制度改正が進んできました。しかし、今や相続税の課税対象は約10%となり、決して富裕層に限られたものではなくなり、あらためて相続税のあり方を、多くの国民が自分ごととして意識し、相続税のあり方を問い直す時ではないでしょうか。

例えば、土地にかかる税金を挙げてみると、所有しているだけで、毎年固定資産税と都市計画税がかかります。
土地を活用して収益を上げると、所得税がかかります。
土地を売却すると、譲渡所得税がかかります。
最後に、子どもに相続させると、相続税がかかります。

土地には何重にも課税され、特に固定資産税と相続税は、土地が収益を生み出していない場合にも、立地よって土地が高く評価されて高額な税金が課されます。

富の再分配という考え方も一理ありますが、収益を生み出していない土地を所有していることは富でしょうか?
その時点では単なる収益可能性の評価に過ぎません。
実際に活用や売却をして収益が出た時点で、所得税としてしっかり徴税すれば済むようも思われます。


いかがでしたでしょうか?

本日は「「国民総相続税対策」の時代到来か?」というテーマでお話させていただきました。最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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